一般的なガス開発とメタンハイドレート開発
一般的なガス開発との違い
メタンガス
メタンハイドレートは地中では固体で存在し、圧力を下げるもしくは、温度を上げることでメタンガスと水に分解します。メタンハイドレートの開発ではこのメタンガスを生産することを目指しています。メタンハイドレートが地中に固体で存在することから、固体のまま石炭のように使用することを想像する人もいますが、メタンハイドレートの採取時にメタンガスと水に分解してしまうため、メタンハイドレートをそのまま使用することはありません。
採取したメタンガスは在来型(注)天然ガスの主成分であるメタンと同じであり、その利用方法は天然ガスと同様、都市ガスや発電所の燃料等になります。天然ガスがクリーンエネルギーであることから、最近はガソリンではなく、天然ガスによって動く「天然ガス車」も普及しています。また、「燃料電池」の水素を作るための原材料としても、天然ガス中のメタンは利用されています。
生産手法
生産されるメタンガスは在来型天然ガスと同じメタンですが、その違いは地中での存在形態に基づく生産手法にあります。一般の天然ガスでは、ガスが周囲より圧力の高い状態で存在するため、井戸を掘削すればガスが自噴してきます。一方、メタンハイドレートは固体であるため、井戸を掘削しただけでは生産できません。圧力を下げる、または温度を上げるなど何かしら状態を変化させない限り生産できない点が一般的なガスの生産手法との違いといえます。
生産に使用する設備等については、現在、研究を行っている段階で、まだ確立した手法がありません。砂層型メタンハイドレート開発で有効と考える減圧法において、減圧するための工夫は必要ですが、井戸内に設置する機器類は基本的に在来型資源開発で使用するものの応用で対応できると考えています。また、特に分解した後のガスは井戸内の圧力が低くなっている点を除いては在来型の天然ガスと同等であることから、地上(または海上プラットフォーム)の処理施設等についても在来型天然ガス開発の応用が可能であると考えています。
(注)在来型資源…通常は、井戸から自噴し、圧力の低下した油層ではポンプによる採油で生産します。一般にこのような方法で採取できる石油・天然ガスを在来型(conventional)資源と呼び、それ以外の採取方法を使わなくてはならないものを非在来型(unconventional)資源と呼んでいます。
クリーンなエネルギー
天然ガスを燃焼させても、酸性雨の原因となるSOx(硫黄酸化物)が発生しません。また、光化学スモッグなど大気汚染の原因とされるNOx(窒素酸化物)や地球温暖化につながるCO2(二酸化炭素)の排出量も石油や石炭と比較して少ないため、天然ガスは化石燃料のなかでは最もクリーンなエネルギーといえます。
環境にやさしい天然ガス