生産手法開発Gの目標と課題

目標

メタンハイドレート層からのメタンガスの商業的生産のための技術の整備を行うためには、メタンハイドレート層からメタンガスを大量かつ安定的に生産する生産手法の開発、坑井のガスの生産能力及びメタンハイドレート資源フィールドの生産挙動を高い精度で予測・解析する評価技術の開発、並びに生産に伴う地層変形・圧密挙動について長期的な安全性を保証するための地層特性評価技術の開発が必要である。

このような意義のもとで、生産手法開発に関する研究開発では、経済的かつ効率的な生産手法を提示するため、以下の研究開発に取り組む。

  • 生産手法高度化技術の開発
  • 生産性・生産挙動評価
  • 技術の開発
  • 地層特性評価技術の開発

研究開発の内容

  • 生産手法高度化技術の開発

砂泥互層からなるメタンハイドレート層に減圧法を適用した場合のメタンガスの生産性及び回収率は、初期貯留層温度が高いほど増加するが、生産過程における貯留層温度の低下に起因して、徐々に生産量は低下する。

このため、貯留層温度を回復するための複合生産手法(併用法)の開発に取り組むほか、経済的かつ効率的に熱供給を行う地層加熱法の開発、生産後の浸透性の高い貯留層特性に着目した増進回収法の開発、生産初期の生産性を高める浸透率改善法の開発等に取り組む。

また、長期にわたるメタンガスの安定的な生産を行うため、出砂等による生産への影響、スキン形成等による浸透性の低下、メタンハイドレート再生成による流動障害など、生産障害因子の定量的解析と数値モデルの開発を行い、生産障害対策技術、抑制技術の開発を行う。

(主な取組内容)

  • 生産性増進技術の開発
  • 生産障害対策・抑制技術の開発
  • 大型室内試験装置による実証
  • 生産性・生産挙動評価技術の開発

フェーズ1で開発した生産シミュレータ(MH21-HYDRES)に、メタンハイドレートに特有な生産時の貯留層特性の変化等のモデルを追加することで、より信頼性の高い生産性と生産挙動を予測する技術を開発する。

このため、生産に伴う貯留層の浸透性、熱特性、圧密特性等の変化及び生産障害等を評価する解析ルーチンの開発を行い、陸上産出試験と海洋産出試験との検証を通じた生産シミュレータの機能強化に取り組む。

また、生産シミュレータに入力する三次元的貯留層特性モデルについては、断層などの不連続性や不均質な貯留層パラメータ等の導入を検討し、長期生産時の広域にわたる生産挙動や地層特性等を評価することを目指す。これらの成果を通じて、貯留層特性に応じて経済性を最大化させる生産手法と生産システムの総合評価を実施する。

(主な取組内容)

  • 生産シミュレータ(MH21-HYDRES)の機能強化
  • 生産挙動評価用三次元貯留層モデルの開発
  • 産出試験の予測と検証
  • 商業規模生産の生産性評価
  • 地層特性評価技術の開発

フェーズ1で開発した地層変形シミュレータに対して、構成式の高度化を図るとともに、メタンガスの生産に伴う地すべりの可能性、メタンガス漏洩の可能性などの環境影響を評価可能な計算ルーチンを開発し、導入する。

また、これを用いて、メタンハイドレート開発に特有な大水深未固結堆積層の力学特性の総合的な評価を行い、メタンガスの生産における坑井周辺の地層応力や、長期的な生産における広域の地層変形等について検証を行う。

(主な取組内容)

  • 地層変形シミュレータの機能強化
  • 坑井の健全性評価
  • 広域の地層変形評価

フェーズ2の達成目標

達成目標(平成23年度) 達成目標(平成27年度)
生産手法開発に関する研究開発
1. 生産手法高度化技術の開発
生産性増進技術の開発

減圧法と加熱法の併用、効率的な熱供給などによるメタン増進回収や、浸透率改善などによる生産性向上について、コア試験による検討を行い、坑井あたりの生産量を増加させる生産手法を開発する。

貯留層特性に応じ、坑井あたりの生産を最大化させる生産手法を整備する。

生産障害対策・抑制技術の開発

コア試験により、生産井周辺のスキン形成、移動する細粒砂の砂質堆積層孔隙内への蓄積、強減圧時の氷生成・メタンハイドレート再生成、圧密による浸透率低下などの生産障害、チュービング内のメタンハイドレート再生成による流動障害の解析を行い、生産障害メカニズムの解明と生産に与える影響評価を行う。

出砂、スキン、細粒砂蓄積、メタンハイドレート・氷生成、流動障害などの生産障害対策技術を開発し、貯留層特性に適した生産障害対策指針を整備する。

大型室内試験装置による実証

定量的な生産性・生産挙動を評価可能な大型の室内試験装置を設計・製作し、生産増進技術、生産障害メカニズムを検証する。

生産性増進技術、生産障害対策技術を検証し、開発した技術の総合評価および海洋産出試験での検証などを通じ、効率的な生産手法を提示する。

達成目標(平成23年度) 達成目標(平成27年度)
2.生産性・生産挙動評価技術の開発
生産シミュレータ(MH21-HYDRES)の機能強化

生産シミュレータ(MH21-HYDRES)に、スキン形成による流動障害など各種生産障害を評価可能な計算ルーチンを付加しその機能を強化するほか、並列演算法の開発と導入によって高速化する。

また、フィールドにおける生産性、生産挙動予測において精度を確保しつつ効率的に演算が可能なアップスケーリング手法を開発する。

フィールド試験の検証を通じて、精度向上を果たすと共に、生産シミュレータに対し地層変形シミュレータを組み合わせた実用化シミュレータを開発する。

生産挙動評価用三次元貯留層モデルの開発

地層の不均質性や断層などによる不連続性を記述可能なパラメータを実験などによって取得し、長期生産性、地層変形を評価可能な三次元貯留層モデル化手法を開発する。

地質推計学的手法を導入し、長期生産時の広域にわたる生産挙動および地層変形などを評価可能な三次元貯留層モデル化手法を開発する

産出試験の予測・検証

陸上産出試験、海洋産出試験の生産性・生産挙動予測を実施し、試験計画に反映するほか、検証によって生産シミュレータの信頼性を評価する。

海洋産出試験の生産性・生産挙動予測を実施し、試験計画に反映するほか、検証によって生産シミュレータの信頼性を評価する。

商業規模生産の生産性評価

貯留層特性に応じて想定した複数の生産システムについて、長期の生産性を評価し、経済性が見込める生産システムを提示する。

実用化シミュレータを用いて合理的な生産システムを評価し、経済性を確保する生産システム設計指針を整備すると共にLCA評価を行う。

達成目標(平成23年度) 達成目標(平成27年度)
3.地層特性評価技術の開発
地層変形シミュレータの機能強化

砂泥互層からなるメタンハイドレート貯留層における地層応力分布や変形挙動、圧密挙動を広域に渡り解析する地層変形シミュレータを開発する。

また、生産に伴う坑井周辺の詳細な力学挙動を評価する坑井周辺力学挙動解析シミュレータを開発し、坑井の長期的な健全性を評価可能とする。

不連続性、不均質性を含む貯留層モデルに対し、坑井周辺および広域にわたる生産に伴う地層の応力分布および変形、海底面の沈下挙動、地すべり可能性、ガス漏洩可能性を検討可能な地層変形シミュレータを開発する。

坑井の健全性評価

貯留層特性に応じ、生産に伴う坑井周辺の地層の変形評価、坑井壁への地層応力分布、ガス漏洩可能性などについて評価する。

生産時の坑井の健全性を確保するための坑井強度、セメント強度、坑井仕上げ法などの指針を提示する。

広域の地層変形評価

生産に伴う広域にわたる海底面沈下、貯留層の変形、地すべり可能性、ガス漏洩可能性を検討すると共に、大水深浅層未固結堆積層の力学特性の特徴を整理する。

長期、広域にわたる地層リスク評価技術を開発し、リスクを回避する開発域選定指針を整備する。