フィールド開発技術Gの目標と課題

目標

非在来型資源であるメタンハイドレート層からのメタンガスの商業的生産を図るためには、フィールドにおける産出試験に取り組み、生産技術の実証、メタンハイドレート層の分解挙動の評価、開発技術の検証などを行うことが必要不可欠である。

また、我が国のメタンハイドレート層が我が国周辺海域の大水深海底下浅層に賦存していることから、これらに対応するための技術開発を進める必要がある。

このような意義のもと、フィールド開発技術に関する研究分野では、産出試験の実施による生産技術の実証と商業的産出のための技術課題の抽出を行うため、以下の研究開発に取り組む。

  • 海洋産出試験の実施
  • メタンハイドレート資源フィールドの特性評価
  • 海洋開発システムの検討
  • 第2回陸上産出試験の解析と長期試験の実施

研究開発の内容

  • 海洋産出試験の実施

海洋におけるメタンハイドレート層の分解挙動の把握、開発技術の検証、経済性検討の基礎データ取得などのため、2012年度及び2014年度に2回の海洋産出試験を実施する。

海洋産出試験においては、海洋掘削リグおよび既存生産設備・機器を使用した数日から最大数週間程度の試験を実施する。同試験では、海洋坑井の生産性と生産を維持し、坑井の健全性を保持する技術の評価、及び経済性評価に資するため、メタンハイドレート分解挙動と地層・坑井の健全性に関する定量的把握を行なうことが可能な試験計画を策定し、実施する。試験後はこれらの目的に適合した結果の解析を行ない、試験対象地域の貯留層評価を実施する。

試験計画の策定のために、海域環境の事前調査、貯留層特性の評価、メタンガス生産挙動の予測、生産性と坑井の健全性の保持を実現するための装置・設備等の調査・設計、最適坑井仕上げ手法の検討、分解モニタリング技術など、必要な研究を行い、海洋産出試験に適用する。

また、海洋産出試験の実施に伴って、産出試験が環境に及ぼす影響について十分な配慮を行い環境影響を低減するとともに、環境影響の評価に必要な実海域の情報を取得して、環境影響評価を行なう。

そのため、環境リスクの分析と対策の検討に必要な、海域環境の調査を実施する。また、産出試験の環境影響評価として、実施候補海域の地すべり・メタンガス漏洩等のリスクを既存データから評価し、その結果を試験地点の選定に反映させる。

また、試験前後及び試験中に、試験地点近傍において海底環境及び生態系の調査・計測を実施する。

(主な取組内容)

  • 技術開発の実施
  • 海洋坑井の生産性と生産を維持し、坑井の健全性を保持する技術の開発と評価

     浅層セメンチング等地層間隔離に関する研究
     出砂対策と貯留層障害対策に関する研究
     坑内生産機器と流動確保に関する研究

    生産・開発に関する物理探査技術の研究
    その他試験実施に必要な技術開発

  • 実施計画の策定
  • 海洋産出試験の実施
  • 試験結果の解析と課題の抽出
  • 試験対象地域の貯留層評価
  • 試験地点における環境影響評価
  • メタンハイドレート資源フィールドの特性評価

メタンハイドレート層の詳細な特性評価は、長期生産挙動の評価と経済性評価の信頼性向上に反映され、さらに商業生産を目指した開発システム構築の基礎となる重要な研究課題である。

このため、フェーズ2においては海洋産出試験で得られたデータを、地震探査データやモデリングデータ等を組み合わせて総合的に解釈し、産出試験の坑井周辺の詳細な貯留層モデルを構築し、メタンハイドレート資源フィールドの特性及び生産能力評価を実施する。

(主な取組内容)

  • 試験実施地点の詳細地質モデル、貯留層キャラクタリゼーションの実施
  • 資源フィールドの貯留層評価
  • 海洋開発システムの検討

フェーズ2においては、海洋産出試験で実証された技術、資源フィールド特性、及び予測される生産特性に適合した海洋開発システムの概念設計を行う。

併せて、海洋開発システムを経済的かつ現実的な仕様とするために必要となる掘削・坑井安定化・生産・坑井仕上げ等におけるコストやリスク低減方法の技術検討を行い、フェーズ3で行う海洋開発システムの具体化に資する成果を得る。

(主な取組内容)

  • 海洋開発システムの概念設計
  • 掘削・坑井安定化・生産・坑井仕上げ等における技術検討
  • 第2回陸上産出試験の解析と長期試験の実施

フェーズ1で実施したカナダでの陸上産出試験結果の詳細な解析と評価を実施し、海洋産出試験に必要となる情報を整理する。また、第2回陸上産出試験では試験期間が約6日間に制限されたため当初の目標であった長期試験は実現できなかった。

生産手法の確立に向けては、減圧法により生産が長期・安定的に継続できることを実証する必要があり、そのため経済産業省との連携で、諸外国との共同実施による長期陸上産出試験に取り組む。

長期陸上産出試験の実施により、長期産出挙動の把握、問題点の抽出を行い、我が国周辺海域のメタンハイドレートの生産手法の確立に資するデータの取得を目指す。

(主な取組内容)

  • 第2回陸上産出試験の結果解析
  • 長期陸上産出試験の実施(国際協力)

フェーズ2の達成目標

達成目標(平成23年度) 達成目標(平成27年度)
フィールド開発技術に関する研究開発
1. 海洋産出試験の実施
技術開発の実施

世界で初めての海洋での産出試験と考えられるため、試験期間中の安全性を確認すると同時に、メタンガス生産挙動を把握する必要がある。

そのため、従来技術で対応可能な産出試験計画とするとともに、海洋坑井の生産性と坑井安定化技術、生産・開発に関する物理探査技術の開発等、技術開発が必要な課題を抽出して、これらの課題への解決策を提示し、技術開発を行なう。

特に重要な課題に関しては、実験室やフィールドでの実証を行い、準備を完了させる。具体的には次の項目を実施する。

・浅層セメンチング等地層間隔離に関する研究を行い、確実に減圧できる坑井仕上げ技術を検討して試験坑井に適用する。

・出砂防止と貯留層障害対策を両立する仕上げ技術を検討し、試験坑井に適用する。

・海底での減圧法に適用する坑内生産機器を開発・選定し、メタンハイドレート再生成防止など流動確保に関する研究を行い、安定生産を可能とする。

・生産・開発に関する物理探査技術の研究を行い、メタンハイドレート分解モニタリングを可能とする。

2回の海洋産出試験の結果を踏まえ、商業的産出にむけての技術課題を抽出する。

実施計画の策定

第1回及び第2回海洋産出試験の基本方針を策定する。第1回試験に関しては、海洋坑井の生産性と坑井安定化技術の評価が可能となるデータが取得できる計画を立案し、平成24年度の実施に向けた具体的な試験プログラムを策定し、坑底・海底及び地表機器の選定・装置の選定・設計を行い、調達可能な状態とする。

第1回海洋産出試験を踏まえた第2回海洋産出試験の計画を立案し、平成26年度中の実施に向けた具体的な試験プログラムを策定し、坑底・海底及び地表機器の選定・装置の選定・設計を行い、調達可能な状態とする。

海洋産出試験の実施

海洋産出試験の実施のため、オペレータと掘削リグを選定し、試験の実施が可能な状態とする。

2回の海洋産出試験を安全に実施し、必要なデータを取得する。

具体的には、ガスが一定期間安定的に生産可能なことを示し、生産挙動を評価するために必要なガス・水生産量と温度・圧力、試験前後の地層変化、坑内の流動状況の把握に必要なデータなどを取得する。

試験結果の解析と課題の抽出

フェーズ1で実施したカナダでの第2回陸上産出試験の解析プロセスを元に、試験結果の解析のためのフローチャートを検討する。

取得データの管理と処理、分解モニタリング結果との対照、シミュレータとの検証などを通じて、海洋産出試験結果の基本解析を終了する。

また、坑内のガス・水流動の状況を把握し、生産手法に対する貯留層の評価を行う。

試験対象地域の貯留層評価

既存の地震探査データ、検層データ、コア分析の結果などを基に、試験地点の貯留層モデルを作成し、生産シミュレータを用いたガス・水レートの予測、及び生産上のリスクの抽出を実施する。

海洋産出試験の実施により新たに取得された検層等のデータを用いて、坑井周辺の貯留層パラメータの再検証を行う。

試験地点における環境影響評価

海洋産出試験の実施前に海洋環境調査・生態系調査を行い、環境影響の事前評価を行い、環境リスクの抽出と特性分析を行なう。

また、地すべりやメタンガスの漏洩リスクを評価し、試験地点の検討に反映させる。

さらに、リスク評価に基づいて、試験における環境対策と環境モニタリング計画を策定する。

海洋産出試験中及び実施後の海洋環境調査・生態系調査を行い、結果を解析して実際の環境影響を確認し、環境影響評価を行う。

達成目標(平成23年度) 達成目標(平成27年度)
2.メタンハイドレート資源フィールドの特性評価
試験実施地点の詳細地質モデル、貯留層キャラクタリゼーションの実施

震探、検層、コアデータ等により、第1回海洋産出試験の貯留層挙動予測に必要な坑井近傍の貯留層特性モデルを策定する。

海洋産出試験で新たに得られたデータを用いて更新された貯留層パラメータ、2回の海洋産出試験の生産データ、それらとシミュレータによる分析結果に基づいて貯留層特性モデルを再評価する。

資源フィールドの貯留層評価

海洋産出試験で更新された試験地点の貯留層特性モデルを、地震探査データ等を利用して濃集帯及び資源フィールド全体に反映させる。

達成目標(平成23年度) 達成目標(平成27年度)
3.海洋開発システムの検討
海洋開発システムの概念設計

フェーズ1で検討を行った海洋開発システムの課題を抽出し、妥当性・現実性の評価を行なって開発可能性の検討を進める。

また、石油天然ガス開発に関する最新技術の調査を実施して、海洋開発システムの検討に反映させる。

海洋産出試験の結果を踏まえ、海洋開発システムの見直しを行うとともに、資源フィールドに適合した現実的な概念設計を終了する。

掘削・坑井安定化・生産・坑井仕上げにおける技術検討

海洋産出試験における技術検討を海洋開発システムの検討に適用する。

また、開発リスクとコストの低減策について技術課題抽出と最新知見の収集を行う。

海洋産出試験結果から技術の評価を進めるとともに、各技術を最適化する方法を検討する。

達成目標(平成23年度) 達成目標(平成27年度)
4.陸上産出試験の解析と長期試験の実施
第2回陸上産出試験の結果解析

フェーズ1で実施したカナダでの第2回陸上産出試験の結果について、網羅的な検討を終了し、我が国周辺海域のハイドレート開発に資する結果について整理を行い、必要に応じて発表する。

長期陸上産出試験の実施 国際協力

国際協力により、減圧法による長期産出試験が実施可能なサイトを抽出し、長期産出挙動データの取得を目指す。

長期産出試験の結果を分析して、海洋における生産の長期挙動評価を行うため、生産シミュレータや貯留層モデルへの反映を行う。